433号 発進塔:社会医療法人の役割

掲載日:2019年03月10日

稲穂会の主たる事業所である天草慈恵病院は「公益性の高い医療」を行う病院として、国から社会医療法人として認定を受けているものです。平成31年1月1日現在全国に302ある病院の一つです。事業の永続性を考慮して、いわゆる個人の持分を放棄し、施設を地域の資源として活かし続けようと考えた末に決断しました。

ところで「公益性の高い医療」としての認定要件とは ⑴休日診療、夜間診療等の救急医療 ⑵へき地医療、離島医療 ⑶災害医療(災害派遣医療チーム保有) ⑷周産期医療(母体搬送受入病院) ⑸小児救急医療(休日夜間深夜診療) の内どれか一つを満たさなければなりません。殆どの社会医療法人の認定要件は⑴か⑵ですが、これは本来、地方の自治病院が行って来たものの代替医療機関として国が定めた制度だからです。これ等には決して効率的でない部分も多く採算が合わないこともあり、知恵の出しどころでもあります。

それでは、「救急医療」とは具体的にどんなものかというと、初診における「時間外、休日、深夜加算」の割合が20%以上必要と規定されています。 休日とは日曜、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)となっているのです。また「へき地医療」とは、年間53日以上での診療実績が必要ですが、天草では教良木診療所がそれにあたり、今のところ松岡先生にご足労かけている所です。

なお社会医療法人は非課税法人である為に医療面だけではなくその他にも様々な制約が多くあります。超我の奉仕の気概が求められているのです。

社会福祉の歴史

古くは聖徳太子が貧窮者や病者、孤児のために難波に設立したとされる悲田院にまで溯ると言われています。第二次世界大戦後、いわゆる措置制度のもとで福祉施設の充実が図られるまでは、宗教機関者や一部の篤志家、福祉家や障がいをもった子供の父母等々が私財を投じて施設をつくり運営して来ました。そういった先人たちの強い慈愛の精神と自らの生活をかえりみることのない活動があってこそ、現在の社会福祉事業に繋がって来たといっても過言ではないと考えています。私もそんな端くれの一人であったのかも知れません。

1971年9月に社会福祉法人設立認可申請書を提出しましたが「障がいを持った子供を抱いて途方にくれっている母親の気持ちになって、心のかよった療育を科学的かつ適正に行う」という経営理念は私の家庭そのものでした。ただ、私にとって幸いであったのは、両親はもとより家族全員が協力者であり、かつ社会全体が重度の障害児(者)に対する思いやりが深くなりつつある時期でもありました。

社会福祉法は、利用者保護の視点が高いためにその経営主体は国、地方公共団体、社会福祉法人に限られています。サービス利用者の安心かつ安定した生活を守るため、法人経営に対する厳格な要件が定められています。そういった中、約70年ぶりに社会福祉法の一部改正が行われ、事業運営の透明性の確立や社会福祉事業への再投資、さらには無料又は低額な料金でのサービスの提供責務等々が追加されました。これからも時代の進化と共に様々に変貌していくであろうと考えています。

ところで私もぼちぼち理事長を退任することを考え始めています。どんな幕引きになるか今からが苦労と心配の鬩ぎ合いになるでしょう。皆さんもどうか「自分は何をして貰いたいかではなく、自分は他人の為に何ができるか」を考える人間になってほしい。

一貫グループ会長
永野 義孝

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