427号 発進塔:どう生きるか

掲載日:2018年03月15日

人づくり改革国会と銘打った通常国会にあって「裁量労働制」の導入は一つの目玉であった。これは労働の成果を労働時間だけではなく、仕事の質を加味した仕事量で評価しようとするもので、私も日頃から職員に繰り返し述べている事でもある。

労働界も当初は賛成の意向を示していた。政府案では高度な限られた職種で一定額以上の所得がある人から対象にしようとしていた。職種は多岐にわたり、それ等の適正な仕事量というのが如何なものであるかを決めるのは中々困難であり、一気に進められるものではないので、様子をみて徐々に広げようとするのは至極当然と考えていた。ところが意図したものか、単純ミスによるものかは判然としないが、官僚が提出した資料をもとに総理が裁量労働制に移行すると、労働時間が短くなるやの発言をしたことで国会は紛糾し、結果的にその導入が先送りとなってしまった。これに類似した事案はPKOの日誌の記載や森友問題でもその杜撰な対応が問題になったところでもあった。残念である。

ところで、先のOECDの発表によると、職場にいる時間が世界中で一番長いのが日本だそうだ。ドイツあたりと比べると日本では年間に三十日分位職場にいる時間が長いらしい。しかし、一人あたりの年間仕事量においては最低となっている。皆さんには悪いが頷ける。時代と共に仕事の内容は進化してゆく。それを受け入れる為には先例を切り捨てなければならない事柄も多い。なのに切り換えが出来ず、先例を単純に引き継いだ上に新たなものを加えようとするから無理が生じ混乱するのである。

生き方

昭和初期の初版で最近になって爆発的な勢いで売れている本がある。吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」という題名である。増版を繰り返し、僅か六ヶ月で二百万部を突破したらしい。最近の若者はスマートフォンはよく覗いているが、本は読まないとばかり思っていたが、そうとばかりは言えないようだ。

普通本とマンガ調の二種類がある。マンガ本の方がやや多く買われているらしい。私も年末に買って読んでみた。内容は多感な少年の発想や行動・疑問に叔父さんという方が語りかけるものであり、広い視界での見方・考え方・学び方や合理的な判断力の養い方及び真摯な生き方等々を会話を通じて示唆するものであり、特に他人に対する思いやりを説いている。作者には大業を成すより、むしろ小さくとも優しい心を持つ人間たれという気持ちが根底にあるようだ。

この本は若者向けの体をとっているが、作者の本当の狙いは大人ではなかったのかとも思えた。というのはこの本が出版された八十年前といえば、日本が戦争に向けて突き進もうとしていた時代であり、何となく今の世相と似通っていると思えるからである。思い過ごしであればいいのだが。

孔子は晩年、曾子に「貴方の人生を一言でいうと、どんなものでしたか」と問われて「一をもってこれを貫く人生であった。一とは忠恕なり」と答えたと言われている。私も以前、彫刻家の圓鍔勝三先生と作家の永六輔さんお二人に同じ質問をしたことがあった。圓鍔先生の答えは

積み重ね、積み重ね、
積み重ねたうえにもなお積み重ね

の人生であったと仰った。また永さんは「借りを返す人生」と述べて

生きていることは
誰かに借りをつくること、
生きてゆくということは
その借りを返すこと

と色紙に書いてくださった。いずれも含蓄のある言葉である。そんなことはないであろうが、若し貴方はと誰かに問われたとすると私は「思いつき、気の向く侭に」とでも答えるであろうか。

人の生涯は多くの人々の支えがあって成り立っている。楽しい事もあれば苦労も多い。しかし総て満足とまではいかないまでも、せめて納得できたと言える一生ではありたいと思う。

観月天燈祭

2018年は私が事業を手掛けて50年という節目を迎える。多くの人々に支えられ、時代背景も私の思考と一致する所が多く、想定以上に私の事業は順調に推移したようにも見てとれる。然し落ち着いて、時間をかけて、念入りに振り返ってみると、今となっては為ん方ないことではあるが、ああしておけば、こうしておけばと反省することが多い。

頭の切り換えにふと考えたのが天燈祭である。諸々の想いを込めて千個の天燈を一気に揚げてみることにした。9月23日の夜である。

一貫グループ会長
永野 義孝

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