397号 発進塔:年頭のご挨拶

掲載日:2013年01月25日

明けましておめでとうございます
本年が皆さんにとって平和で心豊かな年になるように心から念じています。

ふり返ってみると、昨年は「東日本大震災」の本格的復興は未だ先が見通せる状況にまで達していなかったし、「原発」の安全性と使用済み燃料棒の処理を今後どうするのか。「デフレ」から脱却して日本をどう再生するか。「社会保障と税の問題」、「TPPへの交渉参加」を決断するのか、「縮小社会における地方の疲弊」対策、「安全保障と米軍基地」、中国及び韓国との「領土紛争」及び「歴史認識」と数えあげると未解決の難題が山積されたままである。

ところで、私は昨年暮れの衆議院選挙に於いては各党の主張に賛成の点もあるが、他の政策は真逆であったり、約束してもどうせ守らないのではという不信感もあり、積極的に参加する気持ちにはなれなかった。

然し、今年もまた国運に影響を及ぼす選挙が行われる。いつ迄も逃げてばかりはいられないし、ここらで自分の考えを項目ごとに順次この欄で述べてみる。決して強要する積りはないが、少しでも参考になればと考える。

歴史認識と領土紛争

昨年は、日中国交正常化から四十年、熊本県と広西自治区の友好都市締結から三十年を迎える記念すべき年であった。然しながら現実は多くの記念事業は中止となり、反日デモや尖閣諸島周辺では連日のように領海侵犯がくり返され国民感情も良くない。政治家や行政官、さらには多くの企業や団体そして民間人が過去四十年にわたって少しずつ積み重ね積み重ねしてきたものが、脆くも崩れ去ろうとしている状況にある。

ここで過去の歴史について触れてみる。外交交渉では、まず行政が事前折衝を行い妥協点を模索して条約案をつくる。その後最終的に儀礼的な詰めを行うものである。締結時の外務大臣は大平正芳氏であったが、事前交渉は天草出身の園田直外務大臣が担当された。これがまとまらなければ日本には帰らない、という意気込みで、気迫があったと中国の黄華外務大臣から直接お話を伺ったことを思い出す。

さて、調印式は通常単なる儀式的なものであるが、当時の中国国内では国交正常化に反対意見も多かった。そんな中、日本代表団への歓迎晩餐会が開催された。その席上での田中総理の発言により、会場は一瞬のうちに険悪な雰囲気になった。

発言の主旨は、過去の一時期に日本が中国に対して大きな迷惑をかけたというくだりであった。中国側の出席者にはあらかじめ中国語に翻訳された文章が配布されていた。

中国では「迷惑」というと、打ち水をしていて、つい通りがかりの人に水をかけてしまったような程度の時に使われる言葉である。
日本側はそうでないと言い訳をするが、中国側は日本の広辞苑を持ち出して抗議したのであった。広辞苑にはたしかに「迷惑」とは「どうしていいか迷うこと」、とか「他人からやっかいな目にあわされること」と書いてある。たしかに耐え難い苦痛を与えてしまって、申し訳なかったと言う意味合いとは異なるものである。

結局一つの言葉で三日間の議論となった。また、尖閣諸島の帰属問題も議題にのぼり、相方が現在の様な主張を繰り返して、落し所が見い出せずに交渉が難行していた。

そこで中国の周恩来総理は最終案として「尖閣諸島の問題は次世代の英知に委ねる」という棚上げ案を出し、日本側も受け入れて条約が締結されたと聞いている。

日本政府はそれを受け入れた訳ではないと言い続けているし、そんな話がなされた事すら国民には知らせていない。また日本がODAという名目で、中国の近代化に総額三.五兆円を拠出してきたことを知っている中国国民も殆んどいない。これも意図的に知らせていないのであろう。そうであるならば、日本政府がもっと積極的に中国国民に周知すべく努力をする必要があったと思う。そうすることで中国の人達の気持ちも少しは今より良くなっていたと思う。

ついでに靖国の問題にも少しふれてみる。先に述べたように、国交正常化に反対する人々に対して中国政府は、戦争の被害者は中国人だけでなく、日本国民も被害者であった、という考え方で、その責任はいわゆるA級戦犯にあったという考え方で説明し、収拾したのであった。政治家の知恵ともいうべき対応であった。明治維新以後に戦争など国事に殉じた二五〇余万の霊を合祀した靖国神社に参拝するのに横槍を言っているのではなく、一九七八年にA級戦犯とされた方々を追加合祀した靖国に政府要人が参拝することは、約束を破り中国政府の面子を傷つける行為と感じているのであろう。

また、靖国神社の境内にある「遊就館」は一部戦争讃美とも受けとられる説明や展示物があることも事実である。

我々は欧米人と接するときは風貌や言語が違うので慎重に対応する。しかし言語も風貌も日本人と殆んど同じ中国人に対してはついつい考え方まで同じだと勘違いしてしまうところがある。注意すべき点である。特に言葉は誤解をまねく道具であるといった認識を持ってもっと慎重にならなければいけないと考える。

日本には昔から、臭いものには蓋をするという風習がある。また、言葉や態度が曖昧で相手にはどうにでも受け取れる場合が多い。更に中国や韓国と比較すると日本には、その時々の記録が圧倒的に少ないのも事実である。

私は日本側の主張を支持する立場ではあるが、竹島を日本の領土としたのは日韓併合の二年前であったし、尖閣諸島を日本の領土としたのも日清戦争の二年前といづれも相手国が混乱をしていた時代であり、いささか正当性に疑問を持っている。

こんな様々な困難を乗り越えて交渉は実を結んだ訳である。周恩来氏が言った「将来の英知」が今のような状況を醸し出していることを残念に思っている。四十年前の原点に立ち返って、改めて各々が主張している根拠を検証してみては如何だろうか。

韓国が実行支配している竹島に関しては話し合いを主張し、日本が実行支配している尖閣諸島に関しては話し合いを拒否するという二重スタンダードは第三国からも理解しづらいのではないだろうか。

「原発」「TPP」など他項目については次号以降で述べてみたいと思う。今年もよろしく願いたい。

一貫グループ会長
永野 義孝

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