419号 発進塔:朝の頭

掲載日:2016年11月15日

私は厄介な事柄や深刻な相談を受けた時は決って返答しないで、翌日回しにすることにしている。相手がいるときには一晩よく考えてみるからと言うが、実はその件に関しては一切考えないで一晩ただ放置しておく。そして翌朝になってから考えるのである。

私の経験では、疲れた昼間の思考というのは、どうも偏りがちであったり、情緒的であったりする。また夜であると悲観的・同情的になり過ぎることが多く、真面な判断をしていない事が多い。一方、朝の頭というのは躍動的・楽天的かつ客観的で優れている場合が多いと考えるからである。

昼間には手に負えないと思えた難題も頭がすっきりした朝にはするすると解決できた経験が多くある。肝要なのは難題の解決策を探すことをせず、その侭放置することであり、それが1日で済むこともあれば、2~3日を要する事例もある。

念の為に述べるが、ここで言う「朝」とは目を醒ましてから朝食を摂り始めるまでの時間帯である。年を取ると早起きになるというのが一般的であるが、私はその逆で年々目覚めが遅くなってきた。10代の後半から古稀を迎える頃までは決って起床は5時頃であったが、最近では7時になることもあり、「朝の頭」の時間は1時間程しかない。

人はよく、そんなことは朝飯前とか、朝飯前の仕事という言葉を使う。いとも簡単な事の代名詞みたいにである。しかし実際は朝飯前の仕事がその日の一番大事な仕事であることに気づいていない。

初版以来、発行部数300万冊にもならんとしている「思考の整理学」という本で著者の外山滋比古氏は「朝の頭」についても述べておられる。この1冊は、うなずいたり、共感したり、時には反論したりして読んでみると深い思索を与えてくれる。30年以上前の初版本が如水館にもある。灯火親しむこの季節、皆さんも手に取ってみては如何だろうか。きっと心の糧となる何かを得ることができるであろう。

なお、この書籍の中で外山氏は「朝の頭」の時間帯を長く維持する為に朝食を省いて、早めの昼食と一緒にした所謂「ブランチ」を薦めておられる。私はこの案には賛成しかねる。

本来人間は1日2食の動物であったが、それを1日3度にしてから未だ日は浅い。少し詳しく述べると、1910年に発明王エジソンが自身が設立していた会社(GE)から売り出した「トースター」が切っ掛けとされている。朝食と夕食の間にトーストを食べることを推奨し、それが広く受け入れられた。彼は宣伝の天才でもあったようである。ところで1日3食として配分をどうしたらいいか。多分、皆さんの日常と違うであろうが、「朝食を1日の摂取カロリーの50%、昼食を30%、夕食が20%」にするのが健康に良いと経験上考えているし、若い人達にもそうするよう私は勧めているのである。

年の瀬

熊日新聞から新年挨拶の取材があったり、忘年会の招待があったり、お節料理の案内が朝刊の折り込みに多く見受けられたりと否応なしに年の瀬を感じさせられる。私にとって健康上の問題もありこの1年は「忍」であった。皆さんにとってはどんな年でしたか。

さて、清水寺の貫主はどんな一文字で世相を表現するであろうか。

一貫グループ会長
永野 義孝

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